カンヌ国際映画祭のレッドカーペットは、世界で最も有名な映画祭の象徴のひとつである。
テレビやニュースで見ると、華やかなイベントのように映る。
しかし実際には、単なるセレモニーではない。
レッドカーペットは、その作品が世界に向けて紹介される最初の舞台でもある。
監督、俳優、スタッフが揃って会場に入り、観客やメディアの前に姿を見せる。
作品の上映は数時間で終わるが、その映像や写真は世界中に配信される。
つまりレッドカーペットは、映画祭の広報活動の一部でもある。
日本人俳優がカンヌのレッドカーペットを歩く理由もそこにある。
作品を世界へ届けるためであり、日本映画の存在を示すためでもある。
一方で観客の立場から見ると、レッドカーペットは別の意味を持つ。
映画そのものではなく、映画祭という場の熱量を最も感じられる瞬間だからだ。
会場周辺の空気、人の流れ、警備体制、カメラの数。
それらが一斉に集中することで、映画祭特有の雰囲気が生まれる。
レッドカーペットは作品の一部ではない。
しかし映画祭を構成する重要な要素である。
カンヌを観測するという視点に立つと、上映だけでは見えないものがそこには存在している。
映画祭を理解するためには、スクリーンの中だけではなく、その外側で起きていることにも目を向ける必要があるのかもしれない。